「お世話になっている人に感謝を伝える」「助けてもらったらお礼をする」。
当たり前のようで、忙しさや照れ、きっかけ不足で後回しになりがちな行動です。
一方で、近年の“推し活”は、誰かの活動を応援し、言葉を届け、時には金銭的に支える文化として広がっています。
そこで今回、推し活の行動様式を、身近な人への感謝や、日常的に使うツール(特に無料ツールやオープンソース)の支援に転用できないかを確かめるため、アンケートを実施しました。
アンケートの実施概要
本アンケートは、クラウドソーシングサービス Lancers 上で実施しました。
推し活経験の有無や、感謝・支援行動に関する意識を幅広く把握することを目的としています。
- 実施場所:Lancers
- 回答件数:100件
- 募集開始:2025年12月25日 05:14
- 募集締切:2026年1月8日 05:14
- 回答完了:2025年12月25日 18:03
短期間で多くの回答が集まり、推し活経験者・未経験者の双方から多様な意見を得ることができました。
アンケートの目的
今回のアンケートでは、主に次の3点を確認しました。
- 推し活経験の有無と、どんな行動をしているか
- 身近な人やツール提供者に対する「感謝」はあるか/行動に移しているか
- 感謝や支援が増えるとしたら、どんな仕組みが背中を押すか
狙いは「推し活の熱量をそのまま移植する」ことではなく、
推し活が得意としている“行動を生む仕組み”を、日常の感謝にも使えないかという検証です。
結果の全体像:感謝はある。でも行動が難しい
最初に見えてきたのは、次の構図でした。
- 多くの人が、身近な人やツールに対して「感謝の気持ち」は持っている
- しかし、実際の行動(寄付・支援・感謝の発信)にまでは至っていないケースが多い
これは「冷たい」からではなく、むしろ逆で、
気持ちはあるのに、行動に変換する導線が弱いことが原因として多く見受けられました。
推し活で起きている“行動の型”
推し活経験者の行動は、大きく次の「型」にまとまりました。
- 目に見える形で応援する(購入・参加)
- 応援の言葉を届ける(コメント・拡散)
- できる範囲で支える(少額課金・寄付)
ポイントは、これらが本人の性格や信念だけでなく、仕組みとして用意されていることです。
応援する手段が目に入り、すぐ実行でき、実行した結果も分かりやすい。
この“仕組みの強さ”は、日常の感謝にも応用できそうだと感じました。
ツール支援・寄付が増えにくい理由:善意不足ではなく「未設計」
「お世話になっているツール(無料サービス/OSS)に対して支援したことがあるか」を見ると、
金銭的な寄付をしている人は少数で、多くは“感謝はあるが行動はしていない”側に集まりました。
そして「なぜ行動できないのか」には、共通した傾向がありました。
- そもそも支援を“考えたことがない”
- きっかけがない/誘導がない
- 寄付方法が分からない
- 誰に向けて支援すればいいか分からない
- 少額の意味が分からない
- 金銭を絡めることへの心理的なハードル(安全性・責任感・重さ)
重要なのは、ここに「支援したくない」という強い否定が多くなかったことです。
むしろ、方法が分かれば、気軽なら、やってみたいという方向に寄っていました。
促進の鍵:刺さりやすい仕組みは「気軽さ」と「届いた実感」
「こういう仕組みがあれば、感謝・支援をしてみたいか」という質問では、特に次の方向が強く支持されました。
1) 気軽にメッセージを送れる
まず最も強いのが「言葉を届ける手段が簡単だと良い」というニーズです。
“ありがとう”を送るだけなら負担が小さく、心理的ハードルも低い。
2) 少額で支援できる(100円〜など)
次に多いのが「大きな金額ではなく、小さく支援できる仕組み」。
少額であれば“相手に気を使わせない”という安心感も生まれます。
3) 支えている人が見える(可視化)
「誰が支えているのか」「誰に支援が届くのか」が分かると、行動しやすい傾向がありました。
ツールの背後にいる人が見えにくいことが、行動の障壁になっている可能性があります。
4) 応援履歴が残る
推し活の特徴のひとつが「自分の応援が積み上がっていく感覚」です。
これがあると、行動が継続しやすいという示唆がありました。
“推し活の負の側面”への警戒もある
一方で、推し活の文脈をそのまま持ち込むと危ないポイントも見えました。
- 金額や量で競う雰囲気は避けたい
- 生活を圧迫するような支援は望ましくない
- お金が絡むと重く感じる人もいる
- そもそも「ツールへの支援」と「推し活」は別物だと考える人もいる
つまり、推し活の良さは「熱狂」ではなく、
行動が自然に生まれる設計を借りることにある。
競争や過度な課金を誘発する形は、むしろ逆効果になりえます。
評価:推し活は“感謝の設計”に転用できる可能性がある
今回の結果から、次の仮説が強まりました。
- 感謝や支援が少ないのは、冷淡さより「仕組みの欠如」が原因になっている
- 推し活の強みは「やりたい気持ちを、行動に変える導線がある」こと
- 日常の感謝にも、低摩擦な導線(メッセージ/少額/可視化/履歴)を用意すると、行動が増える可能性がある
個人的な主観としては、「思った以上に前向きに答えてくれる人が多かった」です。
もっと否定的な反応が多いかと思っていましたが、実際には「気軽ならやりたい」「仕組みがあればやりやすい」という方向性が目立ちました。
次にやるなら:小さく試せる実験案
最後に、今回の傾向を踏まえると、次のような“小さな実験”が現実的です。
- まずは ありがとうメッセージ を簡単に送れる場所を作る
- 次に 100円程度の少額支援 を「任意で」置く
- 支援先・受け取り手が分かる形で 可視化 する
- “競争”ではなく “積み重ね”として 履歴 を見せる
推し活の要素を取り入れるとしても、煽らず、軽く、続けられる形が合いそうです。
コメントを残す