選択肢があふれる現代では、「より新しく」「より便利に」と進化を追い求めることが当たり前になっています。
けれども、どこかでそのスピードに疲れを感じ、足元を見つめ直したくなることはないでしょうか。
そんなとき、私たちが立ち返ったのは「基本」でした。
便利さや派手さではなく、手間の中にある納得感や、シンプルさの中に宿る安心感。本質に目を向けることで、暮らしも仕事も静かに整っていく——。
この記事では、私たちが実際に行ってきた日常の見直しと、それが仕事の価値観へどうつながっていったのかをお伝えします。
基本を選び直す暮らしの始まり
きっかけは「風呂キャンセル界隈」という言葉から始まりました。
浴室でのあらゆるケアが面倒になり、全てを投げ出して手入れを最小限で済ませる人たちのことをそう呼ぶそうです。
かく言う私も、お風呂場のケア用品に手間を感じて、シャンプーやボディーソープをやめ、固形石鹸一つで済ませるようになりました。シャボン玉石鹸や牛乳石鹸の赤箱など、意外にも髪の毛も洗える商品が販売されており、風呂上がりにクエン酸リンスだけで済ましているのでかなりの手間が減りました。
手洗いも固形石鹸で済ますようになり、今までのハンドウォッシュの買い置きも無くなりましたし、なによりも肉料理を調理した後の油のベタつきがすぐに落ちるようになったのは固形石鹸に変えた大きなメリットになりました。
その流れで、以前は電動シェーバーを使っていた髭剃りも見直し、今では両刃剃刀で整えるようになっています。
電動シェーバーよりは時間がかかりますが、100年以上前から変わっていない髭剃りの方法は「型」が決まっているので何が必要で何を解決するために電動シェーバーが生まれたのか理解するのが楽しい反面、自分にとって本当に必要な機能や仕組みがなんなのか選択できるようになりました。
こうした小さな変化を積み重ねる中で、「生活を整える」という感覚が仕事への向き合い方にもつながっていることに気づきました。
目先の便利さや派手さに流されるのではなく、基本に立ち返ることで得られる安心感や手応え。
その価値に気づいてから、私たちの暮らしと仕事はより一貫性のあるものになっていきました。
守破離という考え方と、私たちの選択
武道や芸道における「守破離(しゅはり)」という言葉があります。まずは型を守り、次に破り、やがて型から離れて独自の道を見つけていく。最初に型を守ったからこその「型破り」が生まれて、型を知らない独自性は「形無し」と言えると考えています。
この考え方は、技術だけでなく暮らしや価値観にも深く通じるものだと感じています。
固形石鹸や両刃剃刀を使うようになったことも、ある意味「守」にあたる選択でした。
まずは伝統的でシンプルな手段を取り入れ、それを習慣として守る中で、自分にとっての心地よさや最適な方法が見えてきました。
私たちが大切にしているのは、「守」をしっかりと実践すること。派手な変化や目新しさよりも、基本を丁寧に積み重ねることで得られる確かな安定感を信じています。
安心感に繋がる「型」を持つこと
現代社会では、成長や変化、ワクワクする楽しさが求められる場面が多くあります。ですが私たちは、安心感や落ち着きこそが、日々の暮らしに深く根を張らせるものだと考えています。
固形石鹸や両刃剃刀といった選択は、毎日のルーティンの中で自然と「型」をつくっていきました。
いつもの動作、手順、感覚。これらが繰り返されることで、余計な迷いやストレスが減り、生活に落ち着きが生まれます。
それがあることで、選択や行動に一貫性が生まれ、迷わず、自分にとって確かな道を選ぶことができるようになります。
選択肢を広げるために、あえて基本を選ぶ
基本に立ち返るというと、制限や窮屈さを連想するかもしれません。古臭い定番のものが”今風ではない”という理由だけで劣っているものと感じる場面もあるかもしれません。
でも実はその逆で、「基本を知ること」はむしろなんでも出来るようになる、自由を得る手段になります。
たとえば、両刃剃刀を使うようになって気づいたのは、よりベーシックな手段に慣れる事で「髭剃り」という行為をするための依存する手段が増えました。「これじゃないと出来ません」ではなく、「どれでも出来るけど今回はこれを使いましょう」と選択できるのは強みとなります。
基本的な道具を使うからこそ、自分で調整し、コントロールする力が鍛えられるので応用する事ができます。
それは暮らしに限らず、仕事の場面でも同じような意味を持つと感じるようになりました。
「なぜそれを選ぶのか」を自分の中で明確にすることで、達成することのクオリティや付加価値が上がります。
私たちは、選択肢を狭めたいのではありません。
選択肢の「本当の意味」での必要な理由──それを理解するために、まずは一つひとつの基本を丁寧に見直しています。
サービスやモノの選び方にも、一貫した姿勢を
私が固形石鹸や両刃剃刀といった道具を選ぶようになったのも、シンプルだからこその「自分で手入れできる」「長く使える」「頼りすぎない」という基準があったからです。
これはサービスや商品を選ぶ際にも一貫している価値観で、余計な装飾よりも、長く付き合える本質的な良さを重視しています。
この考え方は、私たちが提供するサービスや選ぶ商品にも反映されています。
常に前進や成長を目指すのではなく、「心地よく安定して続けられるか」「使い続けたときに安心できるか」といった基準を大切にしています。
見た目の派手さや一時的な便利さに頼らず、使い続けたくなる“基本に忠実なもの”を選ぶこと。
それが、私たちのビジネスの中核にある考え方です。
最後に
「基本を重んじる」という姿勢は、決して保守的なものではありません。
それは、より自由に、より自分らしく生きるための確かな足場です。
私たちはこれからも、「落ち着くこと」「安心できること」を軸に、シンプルで力強い選択を積み重ねていきます。
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